ホンダのヴェゼルといえば、あの流麗なスタイルが魅力的ですよね。
でも、購入を検討する際にどうしても気になってしまうのが「荷室の広さ」ではないでしょうか。「スタイルが良い分、荷室は狭いんじゃないの?」「キャンプ道具やゴルフバッグはちゃんと載るのかな」「あわよくば車中泊も楽しみたいけど、奥行きや高さは足りる?」といった疑問や不安、すごくよく分かります。
実は私も、デザインに惹かれつつも実用性の部分でヤリスクロスなどのライバル車と比較してしまい、カタログの容量スペックや寸法数値とにらめっこしていた一人でした。
この記事では、そんな私が実際にヴェゼルの荷室をチェックして感じたリアルな使い勝手や、独自のセンタータンクレイアウトが生み出す空間の秘密について、本音でお話ししていきたいと思います。
この記事のポイント☝️
- カタログ数値だけでは分からない荷室の実用性とフラット面のメリット
- ヤリスクロスなどの競合ライバル車と比較した際の決定的な違い
- ゴルフやキャンプさらに車中泊での具体的な活用シーンと注意点
- 数値をカバーするヴェゼルならではの便利な機能と使い勝手
調べて分かったヴェゼルの荷室寸法や特徴

ここでは、メーカーのカタログ値だけではイメージしづらい実際の広さについて、具体的な数値を交えながら詳しく見ていきたいと思います。実際にメジャーを当ててみると、ヴェゼルのパッケージングの凄さが改めて分かりました。
荷室の幅や高さなどサイズ詳細

まずは基本的なサイズ感からチェックしていきましょう。私が実際に確認したところ、5名乗車時(後席を使っている状態)での荷室の奥行き(荷室長)は約755mmでした。この数字だけを聞くと「あれ、意外と短い?」と思われるかもしれませんね。
しかし、幅については一番狭いホイールハウスの間でも約1,000mm、広くなっている部分では最大で約1,300mmほど確保されています。
そして何より注目したいのが、地面から荷室の開口部までの高さ(開口部地上高)です。これが約690mmと非常に低く作られていて、重い荷物を「よいしょ」と高く持ち上げなくてもスッと積み込めるんです。荷室内の高さ(天地)も約860mmあるので、クーペ風の見た目から想像するよりはずっと開放感があるなと感じました。
測定箇所 寸法(約・実測含む)
- 荷室長:(5名乗車時) 755mm
- 荷室長:(2名乗車時) 約1,700mm – 1,800mm
- 荷室幅:約1,000mm(最小)- 1,300mm(最大)
- 荷室高:約860mm
荷室容量は本当に狭いのか

ヴェゼルの荷室容量について調べてみると、実はホンダ公式からは明確な「〇〇リットル」というVDA方式の数値が大々的にはアピールされていないんですよね。
先代モデルやボディサイズから推測すると、おおよそ390L〜400L前後ではないかと言われています。
「400L以下だと狭いのでは?」と不安になる方もいるかもしれませんが、実際に使ってみると数字以上の使いやすさを感じます。その理由は、荷室の床が低いことと、空間がスクエアに近い形で無駄が少ないからだと思います。
単純な容量の数字競争ではなく、「いかに荷物を積みやすいか」という実用性に振っているのがヴェゼルの特徴ですね。
ヤリスクロスと荷室を比較

購入時の比較対象として真っ先に挙がるのがトヨタの「ヤリスクロス」ではないでしょうか。私もこの2台ですごく迷いました。カタログ上のスペックで比較すると、ヤリスクロスの荷室長(奥行き)は820mmあり、ヴェゼルの755mmよりも長いんです。
ここがポイント!
ヤリスクロスは「奥行き」で勝り、ヴェゼルは「居住性とアレンジ」で勝負しています。
ヤリスクロスは荷室を稼ぐために後席の足元空間を少し詰めている印象ですが、ヴェゼルは後席の広さを優先しています。また、ヤリスクロスは荷室の床位置を調整するデッキボードを使わないと後席を倒した時に大きな段差ができますが、ヴェゼルはそのままでもかなりフラットに近い状態になります。
ファミリーで後席もよく使うならヴェゼル、1〜2人乗車でとにかく荷物を詰め込みたいならヤリスクロス、という選び方が良いかもしれません。
後部座席のダイブダウン機構

これがヴェゼル最大の武器と言っても過言ではないのが、ホンダ独自の「ダイブダウン機構」です。普通の車は後席の背もたれを倒すと、座面の厚みの分だけ背もたれが浮き上がってしまい、どうしても坂道のような傾斜ができてしまいます。
ところがヴェゼルの場合、背もたれを倒すと連動して座面が足元の方へ沈み込む(ダイブする)仕組みになっているんです。これにより、床面が驚くほど低く、かつ平らな空間が一瞬で出来上がります。この機構のおかげで、天井までの高さを有効に使えますし、何より見た目がスッキリしていて気持ちが良いですね。
フルフラット時の段差を確認

「完全フラット」とよく言われますが、厳密に段差がゼロかというと、そうではありません。実際にダイブダウンさせてみると、荷室の床面自体は非常に平らになりますが、前席(運転席・助手席)との間にはどうしても隙間ができます。
注意点
ダイブダウン自体は優秀ですが、車中泊などで体を伸ばそうとして前席をスライドさせると、後席との間に大きな「落ち込み(空間)」が発生します。
ただ、ヤリスクロスやカローラクロスのように、シートの背もたれ部分で「段差」ができるのとは違い、ヴェゼルは「広い平面」がしっかり作れるのが強みです。このフラットな面は、キャンプ道具を安定して積んだり、車中泊でマットを敷いたりする際に圧倒的に有利に働くと感じました。
目的別に検証するヴェゼルの荷室の寸法

数値上のサイズは分かりましたが、実際に「自分の趣味の道具が入るのか」が一番重要ですよね。ここからは、具体的な利用シーンを想定して、ヴェゼルの積載能力を検証していきます。
ゴルフバッグは横積みできるか

ゴルファーにとって死活問題なのがキャディバッグの積載です。結論から言うと、ヴェゼルには2個〜3個のゴルフバッグを積むことができます。ただし、何も考えずにポンと横に置けるかというと、少しコツがいります。
荷室の側面、ホイールハウスの後ろ側にある「えぐり」部分を上手く利用する必要があります。9.5インチクラスの大きなバッグや、長尺ドライバーを入れたままの場合は、真横に積むのが厳しいこともあります。
その場合は、後席の片側(狭い方)を倒して縦に積むか、バッグをクロスさせるように重ねて積むのが現実的です。4人でゴルフに行くのは少し厳しいですが、2〜3人であれば快適に行けるキャパシティは持っています。
キャンプ道具の積載能力

最近流行りのキャンプですが、ソロ〜デュオ(2人)キャンプであれば、ヴェゼルの荷室は最強の相棒になります。後席を倒せば広大なフラットスペースが生まれるので、テント、タープ、クーラーボックス、コンテナボックスなどが余裕で飲み込まれます。
特に便利だと感じたのが、床が低いので重いクーラーボックスの積み下ろしが楽なことです。一方で、4人家族でのファミリーキャンプとなると、荷室長755mmの制約が出てきます。この場合は、高さを活かして荷物を積み上げる(スタッキングする)工夫や、ソフトタイプのバッグを活用して隙間を埋めるパッキング技術が求められそうですね。
車中泊に必要なマットと隙間

「ヴェゼルで車中泊はできる?」という問いに対しては、「工夫次第でかなり快適にできる」が答えです。後席を倒せばフラットな床ができますが、大人が足を伸ばして寝るには長さが少し足りません。
前席を一番前までスライドさせれば長さは確保できますが、そうすると今度は「前席と後席の間に大きな穴(隙間)」が空いてしまいます。ここを埋めるのが車中泊攻略の鍵です。
車中泊のコツ
この隙間を埋めるための専用クッションや、コンテナボックスを足場にするなどの工夫が必要です。また、市販の車中泊マットを使えば、わずかな傾斜も気にならなくなり、極上の寝床が完成します。身長175cmくらいまでの方なら、斜めに寝ることでさらに余裕が生まれますよ。
自転車を積むロードバイク積載

サイクリストにとってもヴェゼルは魅力的です。ここでもセンタータンクレイアウトによる「低床」が効いてきます。前輪を外した状態のロードバイクやクロスバイクであれば、サドルを少し下げるだけで立てたまま2台積載することが可能です。
天井が低い車だと、自転車を積むときにサドルが天井に引っかかってイライラすることがあるんですが、ヴェゼルは室内高がしっかり確保されているのでスムーズです。また、床がフラットなので自転車が安定しやすいのも嬉しいポイント。ベルト等で固定すれば、安心して遠くのサイクリングスポットまでドライブできます。
総評:ヴェゼルの荷室寸法まとめ

ここまでヴェゼルの荷室について詳しく見てきましたが、正直なところ「数値上の奥行き」だけで見れば、ライバルのカローラクロスやヤリスクロスに負けている部分はあります。しかし、ヴェゼルの真価はそこではありません。
「圧倒的に低い床」「ダイブダウンによる完全なフラット化」「座面を跳ね上げるチップアップ機構」といった、ホンダ独自のパッケージング技術が、数値以上の使いやすさを生み出しています。
「ただ広いだけ」ではなく、「ユーザーがどう使うか」を徹底的に考え抜かれた設計だと感じました。重い荷物を腰を痛めずに積みたい、車中泊で背中が痛くならない平らな床が欲しい、そんな「実用性の質」を求める方にとって、ヴェゼルは最高のパートナーになってくれるはずです。

