「キング・オブ・ミニバン」として一時代を築いた日産エルグランド。
中古車市場でも根強い人気を誇りますが、いざ購入や売却を検討し始めると、歴代モデルごとの燃費性能やボディサイズの違い、あるいは前期後期でのデザイン変更点など、気になることが山ほど出てきますよね。
特に、長く乗ることを考えると維持費に直結する故障リスクや、ライバルであるアルファードとの比較も無視できないポイントです。さらには、2026年以降に登場が噂される次期型モデルの情報も耳に入ってきて、今が買い時なのか売り時なのか迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、初代E50から現行E52、そして未来のモデルまで、エルグランドの歴史と特徴を余すところなく解説していきます。私自身、この車の持つ独特の魅力や走りの良さに惹かれている一人として、カタログスペックだけでは見えてこないリアルな情報をお届けしたいと考えています。
これからエルグランドオーナーになりたい方も、長年連れ添った愛車の価値を知りたい方も、ぜひ最後までお付き合いください。
この記事のポイント☝️
- 歴代各モデルの実燃費やボディサイズの具体的な数値変化
- 購入時に注意すべき世代ごとの定番故障トラブルとリスク
- 市場での立ち位置を変えたアルファードとの競争や販売事情
- 愛車を最高値で手放すための具体的な売却テクニックとタイミング
エルグランド歴代モデルの進化と特徴

1997年の衝撃的なデビューから現在に至るまで、エルグランドは日本の高級ミニバン市場を牽引してきました。
ここでは、初代E50型から現行のE52型にかけて、そのコンセプトや技術がどのように進化し、デザインや走りがどう変遷してきたのかを詳しく見ていきます。
歴代の実燃費とカタログ値を比較

エルグランドを所有する上で、やはり一番気になるのは燃料代ではないでしょうか。大排気量の高級ミニバンだけに、燃費性能は購入後の維持費を大きく左右します。歴代モデルを振り返ると、技術の進化とともに改善は見られるものの、車体の重さが常にネックとなってきました。
まず初代E50型ですが、3.3Lや3.5Lの大排気量ガソリン車は、正直に言ってかなり燃料を消費します。街乗りではリッター4〜5km程度、高速道路でようやく7〜8kmというデータが一般的で、ハイオク仕様ということもありガソリンスタンドへ行く回数は多くなります。ただ、初期のディーゼルモデルであれば軽油の安さもあって多少は経済的でした。
2代目E51型になると、トランスミッションが5速ATに多段化されたことで、高速巡航時の燃費は少し改善しました。特に後から追加された2.5Lモデルはレギュラーガソリンで走れるため、街乗りリッター6〜7km、高速で10km近く伸びることもあり、維持費を気にするユーザーにとっては非常に賢い選択肢となりました。
そして現行のE52型では、CVT(無段変速機)の採用と空力特性の向上により、3.5Lモデルでもカタログ値に近いリッター6〜7km(街乗り)を記録しやすくなっています。特に2.5Lの直4エンジンモデルは歴代で最も効率が良く、高速道路ではリッター13km前後まで伸びることも珍しくありません。とはいえ、最新のハイブリッドミニバンと比較すると見劣りするのは事実で、このあたりは「走りの良さ」とのトレードオフと割り切る必要があるでしょう。
ボディサイズや全高の数値推移

「エルグランドといえば巨大な車体」というイメージがありますが、実は代を重ねるごとにそのプロポーションは大きく変化しています。特に注目すべきは「全高」の劇的な変化です。
初代E50型は、全長約4.7mに対して全高が1,955mmもありました。今の車と比べると背が非常に高く、それが圧倒的な押し出し感と「見下ろすような視界」を生んでいました。まさに「動く要塞」といった雰囲気です。
2代目E51型もその路線を継承しつつ、全長を4.8m台まで拡大。FRレイアウト特有の長いボンネットと相まって、堂々とした風格がありました。しかし、3代目E52型で日産は大きな決断を下します。駆動方式をFFに変更し、低床化を図ることで全高を1,815mmまで一気に下げたのです。
E52型では、先代と比較して全高が約10cmも低くなりましたが、床面も同様に下がったため、室内高(天井の高さ)は逆に数センチ広がっているのが技術的なポイントです。
この変化により、E52型は全長こそ約5mと歴代最長になりましたが、見た目の印象は「背の高い箱」から「ワイド&ローのスポーティなワゴン」へと変わりました。これが走行安定性を高めた一方で、昔ながらの「威圧感」を求めるファンからは賛否が分かれる結果となったのも興味深い点です。
前期後期や人気グレードの違い

エルグランドはどの世代もモデルライフが長く、マイナーチェンジによって前期・中期・後期とデザインや装備が大きく変わります。中古車を選ぶ際は、この違いを理解しておくことが満足度を高める鍵になります。
特に顕著なのが2代目E51型です。前期型はヘッドライトとグリルが2段に分かれた個性的な顔つきでしたが、中期型以降は一体感のあるモダンなデザインになり、後期型ではグリルが大型化してより高級感が増しました。中古市場でも、やはり装備が充実して見た目も洗練されている後期型の「ハイウェイスター」グレードが圧倒的に人気です。
現行のE52型に関しても、2014年のビッグマイナーチェンジでフロントグリルが巨大化し、往年の迫力を取り戻しました。さらに2020年の改良では安全装備が大幅に強化されています。予算が許すなら、安全面を考えても2020年以降のモデル、あるいはデザインの完成度が高い2014年以降の後期型を狙うのが個人的にはおすすめです。
| 世代 | モデル時期 | 主な特徴と変更点 |
|---|---|---|
| E51型 | 前期 | ヘッドライト分離型デザイン、ナビ画面が旧式 |
| 中期 | フロント一体化デザイン、2.5Lモデル追加 | |
| 後期 | 大型メッキグリル採用、アラウンドビューモニター初搭載 | |
| E52型 | 前期 | 控えめなグリルデザイン、少し大人しい印象 |
| 後期 | グリル巨大化(2014年〜)、安全装備強化(2020年〜) |
エンジン馬力と走行性能の評価

「走りのエルグランド」と呼ばれる所以は、その強力な心臓部にあります。特に日産が誇るVQ35エンジンは、ミニバンの常識を覆すパフォーマンスを見せてくれます。
E51型に搭載された3.5L V6エンジンは、最高出力240馬力を発揮。FRレイアウトと相まって、アクセルを踏み込んだ瞬間に2トンの巨体がリアからググッと押し出される感覚は、他のミニバンでは味わえない快感です。ハンドリングも素直で、山道でも意外なほどキビキビ走ります。
E52型ではエンジンが横置きのFFベースになりましたが、出力は280馬力まで向上しました。CVTとの組み合わせで加速は非常に滑らかになり、低重心化のおかげで高速道路のカーブでも車体がグラつかず、路面に吸い付くように走ります。個人的には、「運転していて楽しいミニバン」を探しているなら、このV6モデル一択だと断言できます。
一方で、2.5Lの直4エンジン(QR25DE)は170馬力とスペックこそ控えめですが、低速トルクが太く街乗りでは十分な力強さがあります。絶対的な速さよりも、日常の扱いやすさを重視するならこちらでも不満は出ないでしょう。
アルファードとの比較と販売苦戦

エルグランドを語る上で避けて通れないのが、宿敵トヨタ・アルファードとの関係です。かつてはエルグランドが市場を独占していましたが、なぜこれほどまでに差が開いてしまったのでしょうか。
最大の要因は「広さと豪華さのわかりやすさ」にあると私は分析しています。アルファードは徹底して全高を高く取り、箱型の室内空間の広さと、巨大なグリルによる見た目のインパクトを追求しました。これが「立派な車に乗りたい」というファミリー層やVIP送迎のニーズに見事に合致したのです。
対するE52型エルグランドは、走行性能を優先して全高を下げました。
これは車としての完成度を高める選択でしたが、市場からは「狭そうに見える」「小さくなった」と誤解されてしまう側面がありました。
また、アルファードがいち早くハイブリッドモデルを投入し、燃費と静粛性をアピールしたのに対し、エルグランドはガソリン車のみで戦わざるを得なかった点も、販売面での苦戦に大きく響いています。
エルグランド歴代車を高く売るポイント

これまでの歴史を知れば知るほど、エルグランドが単なる移動手段ではないことがわかります。だからこそ、手放す時もその価値を正しく評価してもらいたいものです。
ここでは、所有時に気をつけるべきトラブルや、次期モデルの動向を踏まえた売却戦略について解説します。
維持費に関わる故障リスクの事例

長く乗り続けるため、あるいはリセールバリューを落とさないためには、各世代特有の弱点を知っておくことが不可欠です。修理費が高額になりがちなポイントをいくつか挙げておきます。
まずE51型などの重量級FRモデルで頻発するのが、ハブベアリングの異音です。走行中に「ゴー」という音が聞こえ始めたら要注意。2トン超えの車重が足回りに負担をかけている証拠で、放置すると走行不能になるリスクもあります。
現行のE52型では、CVT(無段変速機)のトラブルに注意が必要です。発進時に車体がガタガタ揺れる「ジャダー」や、加速が鈍くなる症状が出ることがあります。CVTの交換となると数十万円コースの出費になるため、定期的なフルード交換などのメンテナンス履歴が、売却時の査定額にも大きく影響します。
2026年以降の次期型モデル情報

さて、気になる次期型エルグランドですが、2026年以降にいよいよ登場するという情報が濃厚になってきました。コンセプトは「The private MAGLEV(プライベート・リニア)」とも噂されており、リニアモーターカーのような滑らかな走りが期待されています。
最大のトピックは、待望の電動化技術「e-POWER」の搭載でしょう。
しかも、発電用には新開発のターボエンジンが採用され、システム出力はかつての3.5Lエンジンを凌駕する340馬力級になると予想されています。
駆動システムにはアリアなどで実績のある「e-4ORCE」が採用され、前後モーターの制御で車酔いを防ぐフラットな乗り心地が実現するはずです。
デザインも、E52で失われたと言われる「威風堂々としたサイズ感」を取り戻し、アルファードに対抗できる迫力あるスタイルになると見られています。この新型が登場すれば、現行モデルの中古車相場にも大きな動きがあるはずです。
中古車相場とリセールバリュー

エルグランドのリセールバリューは、正直なところアルファードに比べるとやや厳しい傾向にあります。しかし、グレードや状態によっては高値を維持している車両も少なくありません。
特に強いのが、やはり「ハイウェイスター」系のグレードです。
さらに、本革シートやサンルーフ、後席モニターといった純正オプションが装着されている個体は、中古車市場での需要が高く、プラス査定が期待できます。逆に、走行距離が10万キロを超えていたり、先ほど触れたCVTなどの機関系に不安があったりすると、査定額はガクンと下がる傾向にあります。
E52型の後期モデル(2020年以降)であれば、まだ高年式で安全装備も充実しているため、比較的高値で取引されています。もし乗り換えを検討しているなら、新型の発表で型落ちになる前の「今」が、一つの売り時かもしれません。
ズバット車買取比較でお得に売却

愛着のあるエルグランドを手放す際、ディーラーの下取りだけで済ませてしまうのは非常にもったいないです。なぜなら、ミニバンのような趣味性の高い車や、年式が古くても海外需要がある車は、買取業者によって査定額に数十万円もの差が出ることが珍しくないからです。
私がいつも知人におすすめしているのが、「ズバット車買取比較」を使った一括査定です。
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入力は1分程度で完了します。愛車の最高額を知っておくだけでも、次の車選びの予算計画が立てやすくなりますよ。
エルグランド歴代の魅力と今後の展望

こうして歴代モデルを振り返ってみると、エルグランドという車が常に「乗る人の心を豊かにする」ことを目指して進化してきたことがわかります。FR時代の野性味あふれる走りも、FF化による洗練された乗り心地も、すべてはプレミアムな移動空間を提供するためでした。
次期型では電動化という新たな武器を手に入れ、再び「キング・オブ・ミニバン」の座を奪還しに来るでしょう。
これから中古車を選ぶ方も、新型を待つ方も、エルグランドという車が持つ「走りの哲学」を感じながら、最高のカーライフを送っていただければと思います。

