愛用の日産セレナC26にリコールの知らせが届き、「自分の車は対象なのだろうか?」「修理はいつになるのか?」とご不安な思いをされているのではないでしょうか。特に、大規模リコールが発表されてから時間が経過しているため、情報が錯綜しがちです。
この記事では、C26型セレナのリコール一覧を網羅的に解説します。
特に大規模なECOモーターの不具合では、対応がいつまでかかるのか、修理のオルタネーターリコール優先順位はどうなっているのか、気になる方も多いでしょう。
また、走行に影響するCVTリコールや、過去にあったエアコンリコールの詳細、さらにはリコールでお詫び金や返金がセレナにあるのかといった金銭的な疑問まで、多くの方が抱える不安や疑問に丁寧にお答えしていきます。
ご自身の愛車が安全な状態かを確認し、安心してカーライフを送るための一助となれば幸いです。
この記事でわかること☝️
- セレナC26の主要なリコール内容と対象範囲
- ECOモーターやCVTなど重大な不具合の詳細
- リコール対応の遅延理由と今後のスケジュール
- 修理の優先順位や費用に関する疑問点の解消
公式発表のセレナC26リコール一覧と主要な不具合

- 火災の危険もあるECOモーターのリコール
- 走行不能に至るCVTリコールの内容
- 火災に至るおそれのある電源分配器
- バックドアのガスステー破損の危険性
- 燃料漏れを引き起こす不具合とは
- アクセルセンサの不具合とエンスト
火災の危険もあるECOモーターのリコール
セレナC26で最も大規模かつ注意が必要なのが、ECOモーター(オルタネーター)に関するリコールです。これは「アイドリングストップ付車」と「スマートシンプルハイブリッド(S-HYBRID)車」の両方が対象で、合計で52万台以上という非常に多くの車両に影響が及びます。
不具合の主な原因は、ECOモーター内部にあるベアリングのシール性能不足です。これによりベアリング内部に異物が侵入し、最悪の場合、ベアリングが破損してしまいます。
ECOモーター不具合による危険性

ベアリングが破損したまま使用を続けると、以下のような深刻な事態につながるおそれがあります。
- 走行中に異音が発生する
- ECOモーターが故障し、エンジンが停止する
- モーター故障時に発生する熱風や火花により、周辺に付着したオイルなどに引火し、車両火災に至る
実際に、国土交通省へは火災事故5件、部分焼損6件を含む多数の不具合が報告されています。このため、日産では対策部品の準備が整うまでの暫定措置として「遮熱カバーの取り付け」を行い、部品の準備が整い次第、改めて対策品である新しいECOモーターへ交換する、という二段階の対応をとっています。
もしエンジンルームからの異音や警告灯の点灯など、少しでも異常を感じたら、すぐに最寄りの日産販売店へ相談してくださいね。
(参照:日産自動車リコール情報 届出番号5268, 届出番号5269)
走行不能に至るCVTリコールの内容

次に深刻なのが、無段変速機(CVT)に関するリコールです。この不具合は、CVTの制御プログラムが不適切なことが原因で発生します。
具体的には、変速を行うための重要部品であるスチールベルトに傷がつくことがあり、そのまま使用を続けると、最悪の場合スチールベルトが破損し、走行不能に至るおそれがあります。
このリコールの対象となるのは、主に2012年7月から2013年12月にかけて製造されたS-HYBRID搭載モデル(型式:DAA-HC26, DAA-HFC26)です。改善措置として、販売店にてCVTのコントロールユニットのプログラムを対策品に書き換える対応が行われます。
CVT本体の交換になるケースも
プログラムの書き換えと同時に、CVTコントロールユニットの故障履歴が点検されます。もし、スチールベルトの損傷につながる可能性のある故障履歴が確認された場合は、CVT本体を新品に交換するという、より大掛かりな修理が行われることになります。
走行中に突然動かなくなるという事態は非常に危険ですので、対象の可能性がある場合は速やかに対応を受けることが重要です。
(参照:日産自動車リコール情報 届出番号4770)
火災に至るおそれのある電源分配器
電源分配器の基板製造時の不備が原因で、車両火災に至るおそれがあるリコールも発表されています。これは一度リコール対応が行われたものの、対策が不十分だったとして再度リコールの対象が見直された経緯があります。
原因は、基板に不要なハンダが付着したまま防湿材でコーティングされてしまったこと。使用を続けるうちにコーティングに亀裂が入り、そこから湿気が侵入することで基板上でショート(短絡)が発生します。このショートした際の電流が熱を持ち、最悪の場合、火災につながるというものです。
このリコールは対象車種が多く、セレナC26のほぼ全期間のモデルに加え、キューブ(Z12)やNV200バネットなども含まれています。改善措置は、電源分配器を確認し、対象の部品が使われている場合は対策品へと交換します。
バックドアのガスステー破損の危険性

重量のあるバックドアを支えているガス封入式ステーが、突然破損するおそれがあるリコールです。原因は、ステーの外筒エンドキャップ部分の塗装が不適切で、そこから腐食が進行してしまうことにあります。
腐食が進行すると、内部に封入されたガスの圧力に耐えきれなくなり、外筒が破裂するように破損します。これにより、以下のような危険が指摘されています。
ガスステー破損による危険性
- バックドアを開閉する際にステーが破損し、周囲の人が負傷するおそれがある。
- 破損したステーの部品が勢いよく飛び出し、車体を傷つけたり、路上に落下して交通の妨げになったりするおそれがある。
この不具合は、セレナC26の幅広いモデルが対象となっています。改善措置として、左右のガス封入式ステーを対策品に交換します。
燃料漏れを引き起こす不具合とは
エンジンの燃料供給レールに取り付けられている燃料圧力センサーが緩み、燃料が漏れるおそれがあるリコールも、2012年と2014年の2度にわたって届け出られています。
これは、センサー取り付け時の締め付けが不十分だったことが原因です。エンジンの振動などによって徐々に緩みが発生し、取り付け部のネジを伝ってガソリンが漏れ出てくる可能性があります。燃料漏れは、異臭の原因になるだけでなく、火災の危険性もあるため、非常に重要です。
改善措置は、燃料漏れの有無を点検し、漏れがなければセンサーを適正なトルクで増し締めします。もし漏れがある場合は、ガスケットを新品に交換したうえで増し締めを行います。
アクセルセンサの不具合とエンスト

アクセルペダルの踏み込み量を検知するアクセルセンサー内部の不具合により、加速不良やエンストに至るおそれがあります。
この不具合は、アクセルペダルを少し横方向に押すような特殊な踏み方をした際に、センサー内部の接点の接触が悪くなることが原因です。センサーからの信号が途切れると、安全のためにエンジン出力を制限するフェールセーフ制御が作動し、加速が鈍くなります。
さらに、フェールセーフ制御中の吸入空気量の設定が不適切なため、スロットルバルブに汚れが溜まっていると、アイドリング付近で空気量が不足し、エンストしてしまう可能性があります。改善措置として、アクセルペダル一式を対策品に交換するとともに、エンジン制御コンピュータのプログラムを修正します。
セレナC26リコール一覧から見る対応状況と疑問点

- リコール対応は一体いつまで続くのか
- オルタネーターリコールの優先順位とは
- エアコンリコールも対象か確認を
- リコールでお詫び金や返金はあるのか
- 最新のセレナC26リコール一覧を確認
リコール対応は一体いつまで続くのか

多くのオーナーが最も気にしているのが、ECOモーターのリコール対応が「一体いつまでかかるのか」という点でしょう。結論から言うと、対象台数が膨大であるため部品供給が追いついておらず、交換完了までには長期間を要する見込みです。
日産の公式サイトによると、交換時期の目途は車両の仕様や製造時期によって異なり、最長で2027年後半までかかる予定と案内されています。当初の予定から延期が繰り返されており、オーナーにとっては不安な状況が続いています。
交換時期の目安(2025年4月1日時点の情報)
ご自身の車検証に記載の「初度登録年月」を参考に、おおよその交換時期をご確認ください。なお、これはあくまで目安であり、今後変更される可能性があります。
車両仕様 | 製造時期 | 交換時期(予定) |
---|---|---|
エクストレイル PTCヒーター装着車 | 2015年6月~2015年12月 | 2024年 |
エクストレイル PTCヒーター装着車 | 2016年1月~2016年11月 | 2025年 前半 |
エクストレイル PTCヒーター装着車 | 2016年12月~2017年6月 | 2025年 後半 |
セレナ | 2010年9月~2011年6月 | 2025年 後半 |
セレナ | 2011年7月~2011年12月 | 2026年 前半 |
セレナ | 2012年1月~2012年8月 | 2026年 後半 |
セレナ、エクストレイル PTCヒーター非装着車 | 2012年9月~2014年8月 | 2027年 前半 |
セレナ、エクストレイル PTCヒーター非装着車 | 2014年9月以降 | 2027年 後半 |
(参照:日産自動車 セレナ、エクストレイルのリコールについて)
ご自身の車の正確な状況を知りたい場合は、日産の公式サイトにある「リコール等対象車の検索」ページで車台番号を入力して確認するか、最寄りの販売店に問い合わせることをお勧めします。
オルタネーターリコールの優先順位とは
交換部品の供給が限られる中、修理には優先順位が設けられています。原則として、異音や警告灯の点灯といった不具合の症状がすでに出ている車両が最優先で対応されます。
これは、安全上のリスクが高い車両から順に対応を進めるというメーカーとして当然の方針です。もしご自身のセレナに「エンジンルームから音がする」「アイドリングストップ表示灯が点滅する」などの症状が現れた場合は、予定時期を待たず、直ちに販売店へ連絡してください。状況によっては、優先的に部品を確保し、修理してもらえる可能性があります。
「自分の車はまだ先か…」と待っている間に不具合が出てしまうケースも報告されています。ディーラーとの関係性も影響するかもしれませんが、まずは相談することが大切ですよ。
また、一部の情報では、その販売店で車検や定期点検を受けている「お得意様」が優先される傾向もあるようですが、これは公式なルールではありません。いずれにしても、リコールの案内が届いたら、早めに販売店へ連絡して予約を入れておくのが賢明です。
エアコンリコールも対象か確認を

「セレナC26のエアコンリコール」というキーワードで検索される方がいますが、結論として、エアコンシステムそのものを対象とした大規模なリコールは発表されていません。
ただし、一部のリコール情報で「PTCヒーター」という部品が登場します。これは、エンジンの暖機を待たずに温風を出すための電熱ヒーターで、エアコンの暖房機能を補助する役割を担っています。
ECOモーターのリコールでは、このPTCヒーターを装着している車両(寒冷地仕様など)は、非装着車に比べてECOモーターへの負荷が高いとされ、交換の優先順位が高く設定されています。
エアコンの不調は別原因かも?
もしエアコンの効きが悪い、異音がするといった不調がある場合、それはリコールとは別の原因(ガス漏れやコンプレッサーの故障など)が考えられます。リコールとは関係なく、通常の点検・修理が必要になるケースがほとんどですので、こちらも販売店や整備工場に相談しましょう。
リコールでお詫び金や返金はあるのか

リコール対応の遅れや度重なる不具合に対し、「メーカーからお詫び金や慰謝料は支払われるのか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、原則として、リコール対応でメーカーから金銭が支払われることはありません。
リコール制度は、あくまでも道路運送車両法に基づき、メーカーが保安基準に適合しない車両を無償で修理する義務を負うものです。そのため、「無償修理」をもって、メーカーはその責任を果たしていると見なされます。
修理中の代車は提供される?
リコール修理で車を預ける際の代車についても、法律で提供が義務付けられているわけではありません。そのため、代車の提供は各ディーラーの裁量に委ねられており、提供されなかったり、有料になったりするケースもあります。修理を予約する際に、代車の有無や費用について必ず確認しておくことが重要です。
返金が受けられるケース
ただし、例外的に返金を受けられる場合があります。それは、リコールが発表される前に、同じ不具合箇所をディーラーなどで有償で修理していたケースです。
もし心当たりがある場合は、修理を行った際の請求書や領収書などの証明書類を準備して、販売店に相談してみてください。正当な理由と認められれば、支払った修理代金が返金される可能性があります。
【まとめ】C26型セレナのリコール一覧を確認

最後に記事の内容をまとめます。
- セレナC26には複数の重要なリコールが存在する
- 最も注意すべきはエンジン停止や火災リスクのあるECOモーターのリコール
- CVTの不具合は走行不能につながるおそれがある
- 電源分配器の不具合も車両火災の原因になりうる
- その他にバックドアステーの破損や燃料漏れなどのリコールも発表されている
- 自分の車が対象かどうかは日産公式サイトや販売店で確認できる
- リコール修理は無償で受けられる
- ECOモーターの交換は部品不足で大幅に遅延している
- 交換完了は最長で2027年後半になる見込み
- 交換の優先順位は不具合の発生状況によって決まる
- 異音や警告灯の点灯など異常を感じたらすぐに販売店へ相談する
- リコール対応でお詫び金や慰謝料が支払われることは原則ない
- 修理で車を預ける際の代車は提供されない場合もあるため要確認
- リコール発表前に有償で同じ箇所を修理した場合、返金される可能性がある
- 最新の情報は公式サイトで定期的にチェックすることが大切