夏のドライブ中、ホンダ フリードのエアコンが効かないと感じたことはありませんか?
特に風が弱いと感じたり、後部座席まで冷気が届かなかったりすると、不快指数は一気に上がりますよね。その不調の原因は一体何なのか、もしかしてリコールの対象なのではと不安になる方もいるでしょう。
この記事では、フリードのエアコンに関する様々な悩みを解決するため、考えられる原因から自分でできるチェック方法、気になる修理費用まで、網羅的に解説していきます。
この記事のポイント☝️
- フリードのエアコンが効かない主な原因
- 自分でできる簡単なチェック方法
- 症状別の修理費用と相場の目安
- 後部座席の暑さを解消する対策
フリードのエアコンが効かない原因と症状

- 考えられる主な原因は?
- 風が弱いと感じる時のチェックポイント
- フリードのエアコンは後部座席が課題
- まずは自分でできるセルフチェック法
- 修理費用の相場はどれくらい?
考えられる主な原因は?

フリードのエアコンが効かなくなる不調には、いくつかの主要な原因が考えられます。
最も多いのは、エアコンガスの不足や漏れです。エアコンシステムは密閉されていますが、経年劣化により接続部のパッキンが痩せたり、配管に微細な亀裂が入ったりして、冷却の要であるガスが少しずつ抜けてしまうことがあります。ガスが規定量より少なくなると、冷却能力が著しく低下します。
次に疑われるのは、エアコンシステムの心臓部であるコンプレッサーの故障です。コンプレッサーはガスを圧縮して循環させる重要な役割を担っており、これが故障すると冷風を全く作り出せなくなります。故障のサインとしては、「カチッ」という作動音の消失や、エンジンルームからの異音などが挙げられます。
さらに、ヒューズやリレーといった電装系のトラブルも少なくありません。これらは比較的安価な部品ですが、故障するとコンプレッサーに電気が流れず、システム全体が停止してしまいます。その他、エアコンフィルターの詰まりや、冷却装置(コンデンサーやエバポレーター)の不具合も原因となり得ます。
主な原因まとめ
- エアコンガスの不足・漏れ:最も一般的で、冷却能力が徐々に低下する。
- コンプレッサーの故障:冷媒を循環させる心臓部のトラブル。異音を伴うことも。
- 電装系の不具合:ヒューズ切れやリレー故障でシステムが作動しなくなる。
- フィルターの詰まり:風量が極端に弱くなる原因。
風が弱いと感じる時のチェックポイント

エアコンの冷えが悪いのではなく、「そもそも風が弱い」と感じる場合、原因は比較的単純な箇所にある可能性が高いです。真っ先に確認したいのが、エアコンフィルターの詰まりです。
エアコンフィルターは、外から取り込んだ空気に含まれるホコリや花粉、ゴミなどをキャッチする役割を担っています。このフィルターが目詰まりを起こすと、空気が通りにくくなり、吹き出し口から出てくる風量が著しく低下するのです。
エアコンフィルターは、多くのフリードのモデルで助手席のグローブボックスの奥に設置されています。交換は比較的簡単で、DIYで行うことも可能です。フィルターが真っ黒に汚れていたり、ゴミがびっしり付着していたりする場合は、交換するだけで風量が劇的に改善することがあります。
フィルター交換の目安は、1年に1回または走行距離10,000kmごとが推奨されています。特に花粉の季節やホコリっぽい場所を走行する機会が多い場合は、早めの交換を心がけると快適な状態を維持できます。
もしフィルターを交換しても風量が改善しない場合は、空気を送り出すブロアファンモーターの不具合や、空気の通り道であるダクト内に何らかの異物が詰まっている可能性も考えられます。これらの場合は専門的な点検が必要になるため、ディーラーや整備工場に相談することをおすすめします。
フリードのエアコンは後部座席が課題

「運転席は涼しいのに、後部座席の子供が暑がる」というのは、フリードのオーナーからよく聞かれる悩みの一つです。これは車の故障ではなく、フリードの構造的な特徴に起因する場合がほとんどです。
多くのグレードでは、後部座席専用のエアコン吹き出し口(リアクーラー)が天井に設置されておらず、冷気は前席の吹き出し口から車内全体に行き渡らせる方式をとっています。
ミニバンのように室内空間が広い車では、この方式だとどうしても後部座席まで冷気が届きにくく、温度ムラが発生しやすくなります。特に夏場の強い日差しで車内温度が上昇している状況では、後部座席が快適な温度になるまでかなりの時間を要することがあります。
後部座席のお子様から「暑い!」という声が上がるのは、実はフリードでは“あるある”なんです。これを解決するためには、少し工夫が必要になります。
この課題を解決する最も効果的な対策は、車内の空気を循環させることです。小型のサーキュレーターやクリップ式の扇風機をヘッドレストなどに取り付け、前席からの冷気を後部座席へ強制的に送ることで、車内全体の温度を効率的に下げることができます。
シガーソケットやUSBから電源を取れる製品が多く市販されているので、ぜひ試してみてください。また、後部座席の窓にサンシェードを取り付けたり、IR(赤外線)カットフィルムを施工したりするのも、室温上昇を抑えるのに有効です。
まずは自分でできるセルフチェック法

専門業者に点検を依頼する前に、まずはご自身で簡単に確認できるポイントがいくつかあります。簡単な操作ミスや軽微な不具合が原因である可能性もあるため、以下の項目をチェックしてみてください。
1. エアコン設定の確認
基本的なことですが、意外と見落としがちなのが設定ミスです。
- A/CスイッチはONになっていますか?(ランプが点灯しているか確認)
- 温度設定が最も低くなっていますか?
- 内外気切り替えが「内気循環」になっていますか?(外気が暑い場合は内気循環の方が効率的に冷えます)
2. ヒューズの確認
エアコンシステム専用のヒューズが切れていると、全く作動しなくなります。
フリードのヒューズボックスは運転席の足元やエンジンルーム内にあります。取扱説明書でエアコン関連のヒューズの場所を確認し、切れていないか目視で点検してみましょう。もし切れていれば、同じアンペア数の新しいヒューズに交換します。
3. コンプレッサーの作動音を確認
エンジンをかけた状態で、A/CスイッチをON/OFFしてみてください。
ONにした瞬間に、エンジンルームから「カチッ」という小さな音が聞こえれば、コンプレッサーを作動させるマグネットクラッチは正常に繋がっています。この音が全くしない場合は、リレーの故障やガス圧の異常などが考えられます。
安全へのご注意
エンジンルーム内を確認する際は、回転しているファンやベルトに手や衣服が巻き込まれないよう、十分に注意してください。自信がない場合は無理をせず、専門家にお任せください。
修理費用の相場はどれくらい?

エアコンの修理費用は、故障の原因や交換する部品によって大きく変動します。簡単な修理であれば1万円以下で済むこともありますが、主要部品の交換となると10万円を超える高額な出費になることもあります。ここでは、症状別の修理費用の目安をまとめました。
| 修理内容 | 費用相場(部品代+工賃) | 備考 |
|---|---|---|
| エアコンガス補充 | 8,000円 ~ 15,000円 | ガス漏れがないか点検も同時に行うのが一般的です。 |
| エアコンフィルター交換 | 3,000円 ~ 6,000円 | 部品代は比較的安価。DIYも可能です。 |
| リレー・ヒューズ交換 | 2,000円 ~ 6,000円 | 部品代は数百円程度ですが、診断料がかかる場合があります。 |
| コンプレッサー交換 | 50,000円 ~ 120,000円 | 高額修理の代表例。リビルト品(再生部品)を使えば費用を抑えられます。 |
| エバポレーター交換 | 60,000円 ~ 150,000円 | ダッシュボードの脱着が必要なため、工賃が高額になりがちです。 |
| コンデンサー交換 | 40,000円 ~ 80,000円 | 車両前方にあり、飛び石などで損傷することもあります。 |
修理費用を抑えるためには、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。ディーラーは純正部品を使用するため高額になる傾向がありますが、修理工場や電装専門店ではリビルト品や社外品を活用して費用を抑えた修理を提案してくれることがあります。
まずは原因を正確に診断してもらい、修理内容と見積もりに納得した上で依頼するようにしましょう。
フリードのエアコンが効かない時の対処法

- ガス漏れの特定方法と修理費用
- コンプレッサー故障のサインとは
- 意外と多いリレーやヒューズの不具合
- リコール対象か確認する方法
- フリードのエアコンが効かない問題の総括
ガス漏れの特定方法と修理費用

エアコンの効きが悪い原因として最も多いガス漏れですが、その特定は専門的な知識と道具が必要です。整備工場では、まず専用の機械(マニホールドゲージ)を接続してガス圧を測定し、ガスが不足しているかを確認します。ガスが減っている場合、次に漏れ箇所を探す作業に移ります。
特定方法として一般的なのが、蛍光剤入りのガスをシステムに注入する方法です。この状態でしばらくエアコンを使用すると、漏れている箇所から蛍光剤が染み出してきます。そこに紫外線ライト(ブラックライト)を当てると、漏れ箇所が緑色に光るため、正確に特定できるのです。
他にも、高感度のガス検知器(リークテスター)を使って漏れを探す方法もあります。
修理費用は、どこから漏れているかによって大きく変わります。
- 配管の接続部(Oリング):ゴム製のパッキンの劣化が原因。部品代は安く、修理費用は1万円前後で済むことが多いです。
- コンデンサーやエバポレーター:部品本体からの漏れの場合、部品交換が必要となり、前述の通り数万円から10万円以上の高額修理になります。
ただ単にガスを補充するだけでは、根本的な解決にはなりません。漏れが続けばまたすぐに効かなくなり、補充費用が無駄になってしまいます。そのため、ガスが不足している場合は、必ず漏れ箇所の点検と修理をセットで行うようにしましょう。
コンプレッサー故障のサインとは

エアコンシステムの心臓部であるコンプレッサーが故障すると、冷媒ガスを循環させることができなくなり、全く冷えなくなります。故障が疑われるサインをいくつか知っておくと、早期発見に繋がります。
最も分かりやすいサインは異音です。エアコンをONにした際に、エンジンルームから「ウィーン」「ガラガラ」といった、通常とは違う音が聞こえる場合は要注意です。これはコンプレッサー内部の部品が摩耗または破損している可能性があります。
また、エアコン作動時のアイドリング不調もサインの一つです。エアコン作動中はエンジンに負荷がかかるため多少回転数が変動しますが、その変動が異常に大きい場合や、エンストしそうになる場合は、コンプレッサーの焼き付きが考えられます。
もちろん、A/Cスイッチを入れても「カチッ」というマグネットクラッチの作動音がせず、送風しか出ない場合もコンプレッサー本体や関連部品の故障が疑われます。故障を放置したままエアコンを使い続けると、他の部品にまでダメージが及ぶ可能性があるため、異常を感じたら速やかに使用を中止し、点検を依頼してください。
リビルト品という選択肢
コンプレッサーの交換は高額になりがちですが、「リビルト品」を使用することで費用を抑えることが可能です。リビルト品とは、中古品を分解・洗浄し、消耗部品を新品に交換して再組み立てした再生部品のことです。新品同様の品質でありながら価格は安く、保証が付いている場合も多いので、修理の際に検討してみる価値は十分にあります。
意外と多いリレーやヒューズの不具合

エアコンが全く動かない、あるいは突然停止してしまうといった症状の場合、リレーやヒューズといった電装系のトラブルが原因であるケースが意外と多くあります。これらはエアコンシステムに電気を供給するための重要な部品で、比較的安価でありながら故障するとシステム全体を停止させてしまう厄介な存在です。
リレーは、小さな電流で大きな電流をON/OFFするためのスイッチの役割を果たしています。特にコンプレッサーを作動させるマグネットクラッチには大きな電流が必要なため、専用のリレーが使われています。このリレーの接点が劣化したり固着したりすると、スイッチが正常に働かなくなり、コンプレッサーが動かなくなります。
ヒューズは、過大な電流が流れた際にシステムを保護するために切れる安全装置です。何らかの電気的な異常が発生するとヒューズが切れ、エアコンへの電力供給がストップします。フリードでは、このエアコンリレーの不具合が比較的よく見られる故障事例として報告されています。
これらの部品は交換自体は簡単で、部品代も数百円から数千円程度と安価です。もしエアコンが完全に沈黙してしまった場合は、高額な修理を覚悟する前に、まずこれらの電装系部品の点検を依頼してみることをお勧めします。
リコール対象か確認するには

「エアコンの不具合はリコールで無償修理してもらえるのでは?」と期待する方もいるかもしれません。しかし、現在のところ、フリードのエアコンシステムそのものに関する大規模なリコールは届け出られていません。
リコールは、主に車の安全な走行に重大な影響を及ぼす不具合が対象となります。エアコンの不具合は快適性に関わる問題と見なされることが多く、直接的なリコールには繋がりにくいのが現状です。ただし、メーカーが特定の不具合に対して「サービスキャンペーン」や「保証期間延長」といった形で、無償修理対応を行うことがあります。
ご自身の車が何らかの対策の対象になっていないかを確認する最も確実な方法は、ホンダの公式ウェブサイトで確認することです。公式サイトには、車台番号を入力してリコールや改善対策の対象車両であるかを検索できるページが用意されています。
確認手順
- 車検証を用意し、「車台番号」を確認します。
- ホンダの公式サイトにアクセスし、「リコール・改善対策」のページを探します。
- 検索フォームに車台番号を入力し、検索を実行します。
(参照:本田技研工業株式会社公式サイト リコール・改善対策)
この検索で対象外と表示された場合でも、不具合の内容によってはディーラーが個別に対応してくれるケースもあります。エアコンの効きに明らかな異常を感じる場合は、諦めずに一度ディーラーに相談してみることをお勧めします。
フリードのエアコンが効かない問題の総括
この記事では、フリードのエアコンが効かない場合に考えられる原因から対処法までを解説しました。最後に、重要なポイントをリスト形式でまとめます。
- エアコン不調の最も多い原因はガス漏れやガス不足
- 風量が弱い場合はまずエアコンフィルターの詰まりを疑う
- 後部座席が冷えにくいのはリアクーラー非搭載による構造的な課題
- 後部座席対策にはサーキュレーターの活用が効果的
- 自分でできるチェックとして設定やヒューズ、作動音の確認がある
- 修理費用はガス補充の数千円から主要部品交換の10万円超まで幅広い
- ガス漏れ特定には蛍光剤やリークテスターが用いられる
- コンプレッサー故障は異音やアイドリング不調がサイン
- 高額な部品交換ではリビルト品の活用も視野に入れる
- エアコンが全く動かない場合はリレーやヒューズの不具合も多い
- エアコン自体の大規模なリコールは現在報告されていない
- リコール情報は公式サイトの車台番号検索で確認できる
- サービスキャンペーンや保証延長の対象である可能性も確認する
- 不具合を感じたら放置せず早めに専門家へ相談することが大切
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