コンパクトハイトワゴンの購入を検討する際、多くの方がスズキのソリオと三菱のデリカD:2を比較候補に挙げるのではないでしょうか。
「ソリオとデリカD:2の違いは何だろう?」と感じるのは当然のことです。実はこの2台、基本的には同じOEM関係にある兄弟車なのです。
しかし、2025年モデルの最新情報を含め、細かく見ていくと、ソリオ バンディットとデリカD:2の違いや、価格はどっちが安いのか、さらにはスペック、燃費、維持費といった実用面で無視できない差異が存在します。
この記事では、両車の関係性から具体的な相違点、そしてあなたに最適な一台を見つけるための選び方のポイントまで、網羅的に解説していきます。
この記事のポイント☝️
- ソリオとデリカD:2のOEM関係と基本的な共通点がわかる
- 外観デザインやグレード、価格設定の具体的な違いを理解できる
- 燃費や維持費、リセールバリューといった経済的な側面を比較できる
- 自分に合った一台を選ぶための客観的な判断基準が見つかる
ソリオとデリカD:2の基本的な違いを解説

- ほぼ同じ?知っておきたいOEMの関係性
- ソリオ バンディットとデリカD:2の違いとは
- 2025年モデルの最新情報をチェック
- 価格はどっちが安いのかを徹底比較
- スペックや燃費、維持費を比較する
ほぼ同じ?知っておきたいOEMの関係性

ソリオとデリカD:2の違いを理解する上で、まず押さえておくべき最も重要なポイントは、この2台がOEM関係にあるということです。OEMとは「Original Equipment Manufacturer」の略で、他社が開発・製造した製品を自社ブランドとして販売する仕組みを指します。
具体的には、スズキが製造したソリオを、三菱が「デリカD:2」という名前で供給を受けて販売しているのです。言ってしまえば、車の骨格や心臓部にあたる部分は全く同じということになります。
両車で共通する主な要素
- プラットフォーム(車台)
- パワートレイン(エンジンやマイルドハイブリッドシステム)
- ボディサイズや室内寸法
- サスペンションなど足回りの基本設計
このため、カタログスペック上の走行性能や燃費、運転した際の基本的なフィーリングに本質的な差は生まれません。多くの場合、エンブレムを隠してしまえば、専門家でなければ見分けるのが難しいほど「同じ車」と認識して差し支えないでしょう。しかし、だからこそ両メーカーは、販売戦略上、細かな部分で差別化を図っています。次の項目からは、その具体的な違いについて詳しく見ていきましょう。
ソリオ バンディットとデリカD:2の違いとは

ソリオとデリカD:2には、それぞれ標準モデルとは別に、より個性を際立たせた上級モデルが存在します。ソリオには「ソリオ バンディット」が、そしてデリカD:2には「デリカD:2カスタム」がそれに該当します。
これらは、標準モデルのOEM関係と同様に、ソリオ バンディットをベースにデリカD:2カスタムが作られています。
両モデルの最も大きな違いは、やはりエクステリアデザイン、特にフロントマスクの印象です。
デザインコンセプトの違い
ソリオ バンディットは、2段構えのシャープなLEDヘッドランプと、大型のブラック基調のフロントグリルが特徴で、スポーティかつ精悍なイメージを強調しています。若々しさや先進性を求めるユーザー層に響くデザインと言えるでしょう。

一方、デリカD:2カスタムは、三菱のデザインアイデンティティである「ダイナミックシールド」を彷彿とさせる、力強く立体的なフロントグリルを採用しています。メッキ加飾を効果的に使うことで、SUVのようなタフさや上質感を演出しているのが大きな特徴です。

豆知識:エンブレム以外の相違点
細かな点では、リアコンビネーションランプのデザインやアルミホイールの意匠、選択できるボディカラーにも専用の設定があります。内装についても、シート表皮やインパネの加飾に微妙な違いがあり、それぞれのブランドイメージを反映しています。
このように、基本骨格は同じでありながら、デザインの方向性で明確な差別化が図られています。どちらを選ぶかは、まさに個人の好みが大きく影響する部分です。スポーティさを求めるならバンディット、タフで個性的なスタイルを好むならカスタム、という視点で比較検討するのが良いでしょう。
2025年モデルの最新情報をチェック

2025年には、ソリオとデリカD:2ともに重要な一部改良が実施され、商品力がさらに向上しました。購入を検討する上で、これらの最新情報は必ずチェックしておきたいポイントです。
最大の変更点は、エクステリアデザインの刷新と安全性能の大幅な進化です。
より力強くなったエクステリア
2025年モデルでは、特にフロントマスクのデザインが変更されました。市場のトレンドを反映し、より存在感のある力強いデザインへと進化しています。これは、最大のライバルであるトヨタ・ルーミーのアグレッシブなスタイルを意識した動きとも考えられます。
新しいバンパーデザインの採用により、全長がわずかに延長されましたが、取り回しの良さは維持されています。
進化した予防安全技術
安全装備も大きく進化しました。スズキの「スズキ セーフティ サポート」および三菱の「e-Assist」は、2025年モデルから「デュアルセンサーブレーキサポートII」へとアップグレードされています。
これは、従来の単眼カメラとレーザーレーダーの組み合わせから、より検知性能の高いミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせに変更されたものです。
デュアルセンサーブレーキサポートIIの主な追加機能
- 交差点での右左折時における対向車や横断歩行者・自転車の検知機能
- ドライバーに信号の色の変化を知らせる「発進お知らせ機能」の向上
これらの改良は、デザインの現代性と安全性の向上という明確な価値をもたらします。ただ、それに伴い車両価格も上昇傾向にあるため、最新の安全性を取るか、価格がこなれた旧モデルを中古車で探すかという視点も重要になりますね。
価格はどっちが安いのかを徹底比較

「結局、ソリオとデリカD:2はどっちが安いの?」という疑問は、購入を検討する上で最も気になるポイントの一つです。結論から言うと、新車か中古車か、そしてどのグレードを選ぶかによって答えが変わります。
新車価格の比較
新車の価格を比較すると、最も安価なエントリーグレードが設定されているのはソリオです。しかし、装備が同等レベルの上位グレードで比較すると、価格差が縮まったり、場合によってはデリカD:2の方が安くなるケースもあります。
車種 | グレード名 | 車両本体価格(税込) |
---|---|---|
スズキ ソリオ | HYBRID MG | 約192万円~ |
HYBRID MX | 約205万円~ | |
HYBRID MZ | 約225万円~ | |
三菱 デリカD:2 | HYBRID MX | 約210万円~ |
HYBRID MZ (全方位カメラ付ナビパッケージ) | 約252万円~ |
表を見ると分かるように、単純に一番安いモデルが欲しい場合はソリオに軍配が上がります。しかし、デリカD:2はナビなどがセットになったパッケージグレードを用意しており、オプションを含めた総額で比較すると、デリカD:2の方がお得になる可能性があるのです。
中古車価格の比較
中古車市場に目を向けると、状況は少し変わります。一般的に、知名度や人気が高いソリオに比べて、デリカD:2の方が価格が安くなる傾向にあります。これは、中古車市場での需要と供給のバランスが影響しているためです。
注意点:中古車は年式、走行距離、車両の状態によって価格が大きく変動します。あくまで一般的な傾向として捉え、実際の購入時には複数の車両を比較検討することが重要です。
初期費用をできるだけ抑えたい、あるいは同じ予算でより高年式・低走行の車両を狙いたいという場合は、デリカD:2の中古車が魅力的な選択肢となるでしょう。
スペックや燃費、維持費を比較する

基本的な設計が同じであるソリオとデリカD:2ですが、スペックや燃費、税金などの維持費に違いはあるのでしょうか。ここでは、具体的な数値を比較してみます。
結論として、両車のスペックや維持費に大きな差はありません。どちらを選んでも、日々のランニングコストで有利・不利が生じることはないと考えて良いでしょう。
項目 | スズキ ソリオ | 三菱 デリカD:2 | 備考 |
---|---|---|---|
全長×全幅×全高 | 3,790mm × 1,645mm × 1,745mm | 3,790mm × 1,645mm × 1,745mm | 全く同じサイズ |
エンジン | 1.2L 直列4気筒 DOHC | 1.2L 直列4気筒 DOHC | 共通のエンジンを搭載 |
最高出力 | 91ps/6000rpm | 91ps/6000rpm | パワーも同一 |
燃費 (WLTCモード) | 19.6 km/L | 19.6 km/L | 公式発表値は同じ(グレードにより異なる) |
年間自動車税 | 30,500円 | 30,500円 | 排気量が同じため同額 |
上記の表からも分かるように、車の基本性能や税金に関わる部分は完全に共通化されています。燃費についても、公式なカタログ値(WLTCモード)は同一です。
もちろん、実際の燃費は運転スタイルや道路状況によって変わりますが、同じ条件で走らせた場合、両車で燃費に有意な差が出ることは考えにくいですね。維持費の観点では、完全にイコールコンディションで比較検討できるのが特徴です。
購入前に知るべきソリオとデリカD:2の違い

- 外観デザインとカラーバリエーションの差
- 内装の質感と装備内容をチェック
- グレード構成とオプションの選択肢
- 安全性能や運転支援システムの違い
- 値引きとリセールバリューを考慮する
- 総括:ソリオとデリカD:2の違いと選び方
外観デザインとカラーバリエーションの差

前述の通り、ソリオとデリカD:2の最も分かりやすい違いは外観デザインにあります。車の第一印象を決める重要な要素であり、どちらを選ぶかの一番の決め手になる部分かもしれません。
フロントデザインの方向性
ソリオのフロントグリルは、比較的シンプルで洗練されたデザインを採用しており、幅広い層に受け入れられやすい、いわば「優等生」なルックスです。特に標準モデルは、親しみやすく飽きのこないデザインが特徴です。
一方、デリカD:2は、三菱のアクティブなブランドイメージを反映し、メッキ加飾を大胆に使った力強いフロントグリルが与えられています。標準モデルでもソリオより存在感があり、カスタムモデルではさらにその傾向が強まります。
デザインの選び方
シンプルでクリーンな印象を好むならソリオ、他の人とは少し違う個性やSUVのようなタフな雰囲気を求めるならデリカD:2が魅力的に映るでしょう。
ボディカラーの選択肢
多くのボディカラーは共通ですが、両車にはそれぞれにしか設定されていない専用色が存在します。例えば、デリカD:2には「タフカーキパールメタリック」といったアースカラーが用意されているのに対し、ソリオには「フレイムオレンジパールメタリック」といった鮮やかな色が設定されている時期がありました。
ボディカラーは車の雰囲気を大きく左右します。もし「この色でなければ!」というこだわりがある場合は、それが車種選択の決定的な理由になることもあります。購入を検討する際は、必ず最新のカタログで選択可能なカラーラインナップを確認することをおすすめします。
内装の質感と装備内容をチェック

外観だけでなく、運転中に常に触れる内装にも細かな違いが設定されています。毎日使う空間だからこそ、質感や装備の違いは満足度を大きく左右します。
インパネ周りの加飾
基本的なインパネの形状は共通ですが、エアコンの吹き出し口周りやドアトリムの加飾パネルの色や素材が異なります。例えば、デリカD:2カスタムでは質感を高めるためにチタンシルバーの加飾が用いられるなど、上質感を演出する工夫が見られます。
ソリオは、モデルによってブラウンやネイビーといったアクセントカラーを使い、モダンな雰囲気を醸し出しています。
シート表皮のデザイン
シートの生地やデザインも差別化のポイントです。ソリオ バンディットでは赤のステッチが入った合皮コンビシートが採用されスポーティな印象ですが、デリカD:2カスタムではより落ち着いた色調でまとめられているなど、目指す世界観が異なります。
快適装備の違い
前席の快適性を高める「スリムサーキュレーター」や、日焼けを防ぐ「IRカット/UVカットガラス」といった人気の快適装備は、基本的にどちらの車種の上位グレードでも選択可能です。ただし、グレードによって標準装備かオプションかが異なる場合があるため、注意が必要です。
これらの違いは、一見すると些細なことに思えるかもしれません。しかし、こうした細部の積み重ねが、車全体の雰囲気や乗り心地の印象を決定づけます。カタログだけでなく、ぜひ実車に触れて、どちらの内装が自分の好みに合うかを確認してみてください。
グレード構成とオプションの選択肢

ソリオとデリカD:2では、提供されるグレードのラインナップや選べるオプションに違いがあります。これは、両社の販売戦略の違いを反映しており、購入時の選択の幅に直接影響します。
グレード展開の違い
一般的に、ベースモデルであるソリオの方が、グレードの選択肢が豊富です。以前はソリオにのみ純粋なガソリンエンジンモデルが設定されており、初期費用を抑えたいユーザーの受け皿となっていました。(※注:2025年現在は両車ともマイルドハイブリッドが中心です)
これに対し、デリカD:2はグレード構成を絞り込み、ある程度装備が充実したマイルドハイブリッドモデルを中心に展開しています。これは、ソリオとの直接的な価格競争を避け、少し上の層を狙う三菱の戦略と考えられます。
選択のポイント
- ソリオ:幅広い選択肢から、予算や必要な装備に応じて細かく選びたい人向け。
- デリカD:2:グレード選びで悩みたくない、装備が充実したモデルが欲しい人向け。
オプション・アクセサリーの豊富さ
内外装を自分好みにカスタマイズしたい場合に重要となるディーラーオプションのアクセサリー類も、ソリオの方が多彩なラインナップを揃えている傾向があります。エアロパーツやインテリアパネル、便利な収納アイテムなど、選択肢の多さを重視するならソリオの方が満足度が高いかもしれません。
ただし、デリカD:2にも三菱のブランドイメージに合わせたオリジナルのアクセサリーが用意されています。どちらのオプションが自分の好みに合うか、両方のカタログを見比べてみるのも面白いですよ。
安全性能や運転支援システムの違い

現代の車選びにおいて、安全性能は非常に重要な比較項目です。ソリオとデリカD:2に搭載されている予防安全技術は、名称こそ異なりますが、その機能は基本的に同じものです。
- スズキの予防安全技術:「スズキ セーフティ サポート」
- 三菱の予防安全技術:「三菱 e-Assist(イーアシスト)」
これらのシステムは、衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能など、主要な安全機能をパッケージ化したものです。前述の通り、2025年モデルからは両車ともに性能が向上した「デュアルセンサーブレーキサポートII」が搭載されており、検知対象が自転車や自動二輪車にも拡大され、交差点での対応能力も強化されました。
注意点:グレードによる機能差
アダプティブクルーズコントロール(ACC)や車線維持支援機能といった、より高度な運転支援機能は、上位グレードに標準装備、またはオプション設定となっている場合があります。エントリーグレードではこれらの機能が搭載されていないこともあるため、希望する機能がどのグレードで手に入るのかを必ず確認する必要があります。
結論として、安全性能そのもので両車を比較する必要はほとんどありません。どちらの車を選んでも、現代のコンパクトカーとして高いレベルの安全性が確保されています。重要なのは、自分がどのレベルまでの運転支援機能を求めるかを明確にし、それに合ったグレードを選ぶことです。
値引きとリセールバリューを考慮する

車を賢く購入し、将来的な資産価値まで考えるなら、「値引き」と「リセールバリュー」は避けて通れないテーマです。この2つの経済的な側面では、ソリオとデリカD:2に明確な傾向の違いが見られます。
購入時の値引き交渉
値引き額は時期や販売店の方針によって変動しますが、一般的にソリオの方が交渉の余地が大きいと言われています。これは、ソリオがスズキの主力車種であり販売台数も多いため、ディーラー側も販売目標達成のために柔軟な対応をしやすいことが理由です。目標値引き額は、車両本体とオプション合わせて20万円以上が一つの目安となります。
一方、デリカD:2はOEMモデルであり、元々の価格設定や販売台数を考慮すると、大幅な値引きは難しい傾向にあります。もちろん交渉は可能ですが、ソリオほどの大きな値引きは期待しにくいかもしれません。
値引き交渉のコツ
最も効果的なのは、ライバル車の見積もりを取ることです。ソリオとデリカD:2を競わせるのはもちろん、最大のライバルであるトヨタ・ルーミーの見積もりも用意すると、交渉を有利に進めやすくなります。
将来のリセールバリュー
数年後に車を売却する際の価値、すなわちリセールバリューにおいては、ソリオがデリカD:2よりも圧倒的に有利です。
この理由は、ひとえに市場での知名度と人気の差にあります。ソリオはこのクラスのパイオニアとして広く認知され、中古車市場でも常に高い需要があります。需要が高ければ、買取価格も高値で安定します。
対照的に、デリカD:2は知名度が低いため中古車市場での指名買いが少なく、ソリオと比較して買取価格が低くなる傾向が否めません。
たとえ購入時の値引きでデリカD:2を数万円安く手に入れられたとしても、数年後の売却時にリセールバリューの差がそれを上回ってしまう可能性は十分にあります。トータルコストを重視するなら、この点は非常に重要な判断材料になりますね。
総括:ソリオとデリカD:2の違いと選び方
ここまで、ソリオとデリカD:2の様々な違いを比較してきました。基本設計は同じOEM車でありながら、デザイン、価格、グレード構成、そしてリセールバリューに至るまで、無視できない差異があることをご理解いただけたかと思います。
どちらの車が優れているということではなく、どちらがあなたの価値観やライフスタイルに合っているかが重要です。最後のまとめとして、これまでの比較を踏まえた両車の特徴と、おすすめの選び方をリスト形式でご紹介します。
- デリカD:2はスズキのソリオをベースにしたOEMモデル
- プラットフォームやエンジンなどの基本性能は両車で共通
- 最も分かりやすい違いはフロントグリルなど外観デザインの方向性
- ソリオにはスポーティな「バンディット」がある
- デリカD:2にはSUV風の力強い「カスタム」がある
- それぞれに専用のボディカラーが設定されている
- 内装も加飾やシート生地に細かな違いがある
- 新車価格はエントリーグレードではソリオが安い傾向
- 上位グレードではオプション込みでデリカD:2が安くなる場合もある
- 中古車市場ではデリカD:2の方が安価な個体を見つけやすい
- 燃費や税金といった年間の維持費に差はほとんどない
- 安全性能は名称が違うが中身は同じで性能差はない
- 値引き交渉は販売台数の多いソリオの方が有利な傾向
- リセールバリューは知名度の高いソリオが圧倒的に高い
- 経済合理性や選択肢の豊富さを重視するならソリオがおすすめ
- 個性的なデザインやディーラーとの付き合いを優先するならデリカD:2も有力な選択肢